著者のコラム一覧
新井平伊順天堂大学医学部名誉教授

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

老親の「動こう」「楽しもう」という気持ちを尊重しサポートしよう

公開日: 更新日:

 でも、それでも、おばあちゃんは万が一転んだとしても、孫と、念願のディズニーランドへ行けた方がうれしかったんじゃないか--。

■何かあったとしても「行動しないで後悔」より生きている証し

 実は、私も今は亡くなった両親に対して同じ後悔の念を抱いています。子供の立場、ましてや孫の立場になると、高齢である親(祖父母)の負担を極力取り除きたいと思いますよね。足腰が弱っているのだから、無理をさせたくない。転んで骨折したら、そのまま寝たきりになる可能性も高い。万が一の危険が考えられる行動はやめさせたい、と。

 ただ、それが本当に親や祖父母のためになっているのか。かえって、足腰を弱らせたり、意欲を失わせる言動になっていないか。歩いたり人と交流したりせず、基本的に自宅で過ごし、たまの外出は息子や娘が運転する車に乗って……としていれば、転倒・骨折のリスクは減るかもしれませんが、年を重ねるほど歩行機能や認知機能が低下していきます。

 なので、何よりも自ら動こう、楽しもう、という意欲があるときには、ご家族はそれを実行できるように考えてあげるべきです。リスクはつきものです。さりげなくサポートできる態勢を用意し、万が一の時にはどうするかも考えておけばいいと思います。何かあったとしても、「行動しないで後悔」よりは、生きている証しです。

 今は、80歳、90歳になってもアクティブな方が大変多いです。「もう年なんだから」とは、周囲はもちろん、ご本人も思わないでいることが、健康で元気な人生100年時代の実現につながるのです。

【連載】認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    秋季関東大会で横浜高と再戦浮上、27連勝を止めた「今春の1勝」は半年を経てどう作用するか

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    公明票消失で自民衆院「東京選挙区」が全滅危機…「萩生田だけは勘弁ならねぇ」の遺恨消えず

  4. 4

    星野監督時代は「陣形」が存在、いまでは考えられない乱闘の内幕

  5. 5

    「自維連立政権」爆誕へ吉村代表は前のめりも、早くも漂う崩壊の兆し…進次郎推しから“宗旨変え”

  1. 6

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  2. 7

    国民民主党・玉木代表「維新連立入り」観測に焦りまくり…“男の嫉妬”が見苦しすぎる

  3. 8

    自民「聞いてないよォ」、国民・玉木氏「どうぞどうぞ」…首相指名の行方はダチョウ倶楽部のコント芸の様相

  4. 9

    号泣の渋野日向子に「スイングより、歩き方から見直せ!」スポーツサイエンスの第一人者が指摘

  5. 10

    「ガルベスと牛乳で仲直りしよう」…大豊泰昭さんの提案を断固拒否してそれっきり