著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

最期が近づいているなら…治療によるつらさからは解放してあげたい

公開日: 更新日:

 私は最期に「ありがとう」と言い合える人間関係が好きです。もし私自身がその時を迎えたら、心からそう言えるように今を生きていきたいとも考えています。

 東京の城北地域の住宅地に、80歳手前のご夫婦がお住まいになっていました。

 若い頃に今の場所に一軒家を構え、やがて子供たちはみんな巣立ち、2人で静かな生活を送っていました。

 ご主人は野球とたばこが大好き。7~8年前に脳梗塞の発作を起こし、右足のまひと言語障害が残りました。また、奥さまは大病を経験。2人ともまったくの健康体ではないものの、お互いを思いやり、いつも笑顔。楽しそうに会話を交わしながら、日々を過ごされていました。2人で散歩に出掛けるのが日課だったそうです。

 ご主人に息切れの症状が出てきたのは3年ほど前。病院で慢性心不全と診断されました。歩くのが不自由で通院は難しい。病院からは自分で訪問診療の先生を探すようにと言われたとのことで、ケアマネジャーさん経由で当院に依頼がありました。仲の良いお2人に会うのは私にとっても楽しみなこと。しかし今年に入り、ご主人は徐々にベッドで過ごす時間が長くなってきました。そしてとうとう、奥さん、息子さん夫婦に、最期の時が近づいてきていることを伝える日がやってきました。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本中学生新聞が見た参院選 「参政党は『ネオナチ政党』。取材拒否されたけど注視していきます」

  2. 2

    松下洸平結婚で「母の異変」の報告続出!「大号泣」に「家事をする気力消失」まで

  3. 3

    松下洸平“電撃婚”にファンから「きっとお相手はプロ彼女」の怨嗟…西島秀俊の結婚時にも多用されたワード

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    俺が監督になったら茶髪とヒゲを「禁止」したい根拠…立浪和義のやり方には思うところもある

  1. 6

    (1)広報と報道の違いがわからない人たち…民主主義の大原則を脅かす「記者排除」3年前にも

  2. 7

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  3. 8

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  4. 9

    自民党「石破おろし」の裏で暗躍する重鎮たち…両院議員懇談会は大荒れ必至、党内には冷ややかな声も

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」