筑波胃腸病院が導入した理由「地域のがん患者さんに希望と喜びを与えたい」

公開日: 更新日:

 がん治療の新しい武器のひとつとして全国にその認知度を高めつつあるハイパーサーミア療法。今年2月から最新機器による治療を始めたのが、JR常磐線・牛久駅にほど近い「筑波胃腸病院」(茨城県つくば市高見原=鈴木隆二理事長、田村孝史院長)だ。永井健太郎副院長が言う。

「当院は、食道、胃、腸、肝臓、すい臓などの消化器系の診断と治療を得意とする専門病院です。日本消化器外科学会専門医修練施設にも認定されています。一般手術以外に、内視鏡下・腹腔鏡下手術にも注力。手術数は8000例を超えています。2007年には急増する食道、胃、大腸などの消化器がんに対応するため腫瘍化学療法外来を設置して、抗がん剤治療を行っています。ハイパーサーミアの最新治療機導入はその上乗せ効果を期待してのものです」

 実際、食道がんや直腸がんは、術前化学放射線療法とハイパーサーミア療法の併用に関してランダム化比較試験が存在。完全奏効率や生存期間の改善が示されているほか、他の消化器がんも併用による改善例が多く報告されている。

「正常細胞は加温すると、周囲の血管が拡張して、血流を増加して熱を体外に逃がす仕組みがあります。一方、がん細胞周囲の血管はもろい新生血管であるため、加熱すると血管が拡張できずに熱がこもってしまい、結果的にがん細胞は正常細胞よりも早く壊れてしまう。このためハイパーサーミア療法は単独でも効果があるとされています。がん患者さんの中には副作用が強すぎて抗がん剤を適量投与できないケースや、継続できないケースがあります。しかし、ハイパーサーミア療法を併用することで、少ない薬の量で通常の効果が期待できる可能性やハイパーサーミア単独による延命効果が期待できるのではと考えています」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  2. 2

    国民民主党の支持率ダダ下がりが止まらない…ついに野党第4党に転落、共産党にも抜かれそうな気配

  3. 3

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  4. 4

    来秋ドラ1候補の高校BIG3は「全員直メジャー」の可能性…日本プロ野球経由は“遠回り”の認識広がる

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  3. 8

    脆弱株価、利上げ報道で急落…これが高市経済無策への市場の反応だ

  4. 9

    「東京電力HD」はいまこそ仕掛けのタイミング 無配でも成長力が期待できる

  5. 10

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー