陽子線でがんを狙い撃つ(1)従来の放射線の効果を上回る

公開日: 更新日:

 ただIMRTにも限界がある。X線の性質上、線量のピークは皮膚面から数センチの深さ。それを過ぎると線量が落ちるので多方面から照射する。「がんには高線量、正常組織には低線量」とはいえ、がん周辺の正常組織の損傷は免れない。

「進行肺がんに対して、X線の線量による生存率を比較した研究があります。当初は線量を増加した方が治療成績が向上するとみられていたのですが、結果は線量が高い方が生存率が低かった。両群とも肺の障害には差がなかった。一方、線量が高い群では肺に近い心臓が損傷をより受けており、その心障害で生存率が下がったと考えられています」

 そこで登場したのが、陽子線治療だ。日本では1979年に放射線医学総合研究所、1983年に筑波大学で臨床研究が開始され、1998年に国立がん研究センター東病院に世界で2番目となる医療専用陽子線施設が導入された。 (つづく)

※今年新たに保険適用となったのが、早期肺がんで手術不能のもの。他に頭頚部では咽喉頭・口腔扁平上皮がん以外、膵がん、肝細胞がんなどがある。ただし「手術が困難」など条件に該当する場合に限る。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    国分太一の先行きはさらに険しくなった…「答え合わせ」連呼会見後、STARTO社がTOKIOとの年内契約終了発表

  2. 2

    大谷翔平も目を丸くした超豪華キャンプ施設の全貌…村上、岡本、今井にブルージェイズ入りのススメ

  3. 3

    100均のブロッコリーキーチャームが完売 「ラウール売れ」の愛らしさと審美眼

  4. 4

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  5. 5

    日本語ロックボーカルを力ずくで確立した功績はもっと語られるべき

  1. 6

    都玲華プロと“30歳差禁断愛”石井忍コーチの素性と評判…「2人の交際は有名」の証言も

  2. 7

    規制強化は待ったなし!政治家個人の「第2の財布」政党支部への企業献金は自民が9割、24億円超の仰天

  3. 8

    【伊東市長選告示ルポ】田久保前市長の第一声は異様な開き直り…“学歴詐称”「高卒なので」と直視せず

  4. 9

    AKB48が紅白で復活!“神7”不動人気の裏で気になる「まゆゆ」の行方…体調は回復したのか?

  5. 10

    ラウールが通う“試験ナシ”でも超ハイレベルな早稲田大の人間科学部eスクールとは?