認知症の中等症リハではなぜ「楽しんでできること」を探すのが重要なのか
認知症を発症後、軽症の段階から中等症に進行した患者さんに対し、できるだけ生活が困らないようにするために実施するリハビリが「中等症リハ」です。
中等症になると、記憶障害が加速して新しい出来事が覚えられなくなってきます。記憶が保てなくなるため、身の回りのことができなくなって日常生活に支障を来すようになります。当然、介護をしているご家族の負担も大きくなります。そんな介護者の介助量を少しでも減らすために、中等症リハを行うのです。
予防リハや軽症リハで、筋力や体力を向上させるために実施する身体トレーニングは、中等症の患者さんには簡単ではありません。だからといって、何もせずにずっと寝かせていると、そのまま寝たきりになってしまいますし、必ず肺炎や尿路感染症を発症してきます。
長期間にわたって動かず寝てばかりいると、肺の活動量が減って弱っていきます。さらに、寝ていると口の中の清潔が十分に保たれにくくなり、口腔内で細菌がより多く増殖します。その結果、口腔内の細菌が気管から肺へと吸引され、肺炎を発症するのです。