著者のコラム一覧
堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

少数意見を上手に拾える仕組み「KJ法」を取り入れよう

公開日: 更新日:

 心理学の世界では、「同調行動」という言葉があります。他の人がやっていることを自分もしてみたいという欲求が、人間には備わっているといいます。

 興味深いことに、日本政策金融公庫の「外食に関する消費者意識と飲食店の経営実態調査」(2013年)によると、飲食店を選ぶ際の重視点として、「低価格であること」をしのぎ、約7割が「入店時に時間がかからないこと」を第1位の理由に挙げています。行列に並ぶことに対して抵抗がない人は約3割ほどしかおらず、ほとんどの人は並ばずに入りたいと考えていることが分かります。

 ところが、実際には日本各地の至る所に行列ができていますよね。まさしく、「できれば並びたくないけど、人気や話題性を考慮すると自分も体験しておきたい」といった同調行動が働いていることがうかがえます。また、同調行動は社会が安定していればいるほど一般的な行為になるといわれているため、「行列が大好き」「皆と同じことをしたがる」などの日本人が取りがちな行動の背景には、それだけ私たちが平和な世の中を生きていると言えるのかもしれません。

 同調は厄介な存在です。この同調によって、本来、自分が下したかった決断が揺らいでしまい、後悔を誘うことが珍しくありません。皆がAと言っているから、Aに流されてしまう。自分の判断が流されてしまうバイアスがかかるわけですから、すべての物事は多数決で決まってしまう可能性だってあるわけです。そのため、社内で行われる会議や公平性が求められるような場では、上手に少数の意見を拾っていく仕組みをつくることが問われます。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “芸能界のドン”逝去で変わりゆく業界勢力図…取り巻きや御用マスコミが消えた後に現れるモノ

  2. 2

    落合博満さんと初キャンプでまさかの相部屋、すこぶる憂鬱だった1カ月間の一部始終

  3. 3

    渡辺謙63歳で「ケイダッシュ」退社→独り立ちの背景と21歳年下女性との再々婚

  4. 4

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  5. 5

    米価高騰「流通悪玉論」は真っ赤なウソだった! コメ不足を招いた農水省“見込み違い”の大罪

  1. 6

    大阪万博は鉄道もバスも激混みでウンザリ…会場の夢洲から安治川口駅まで、8キロを歩いてみた

  2. 7

    悠仁さま「9.6成年式」…第1子出産の眞子さん、小室圭さんの里帰りだけでない“秋篠宮家の憂鬱”

  3. 8

    参政党議員「初登院」に漂った異様な雰囲気…さや氏「核武装」に対しゼロ回答で現場は大混乱

  4. 9

    ダルビッシュの根底にある不屈の反骨精神 “強いチームで勝ちたい大谷”との決定的な違い

  5. 10

    悠仁さま「友人とガスト」でリア充の一方…警備の心配とお妃候補との出会いへのプレッシャー