著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

体脂肪が気になる方に…とうたわれるクスリは短期での効果は期待できない

公開日: 更新日:

 高齢になると基礎代謝が落ちるため、若い頃よりも体重が増えてしまう人は少なくありません。そんなとき、テレビで「体脂肪が気になる方に……」といった肥満対策に効果があるとするクスリのCMを目にしたことがある人もいるのではないでしょうか。そういったクスリの多くは「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」という漢方です。

 防風通聖散は病院で処方されることもありますし、ドラッグストアなどで市販されているものもあります。効能・効果として、「腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症状‥高血圧の随伴症状(どうき、肩こり、のぼせ)、肥満症、むくみ、便秘」と記載されていますが、ほとんどは肥満症、特に便秘を伴う肥満症に用いられています。便秘は女性に多くみられる症状なので、女性に多く処方されている印象です。

 防風通聖散に含まれる生薬には、体を温めて熱を発散する効果を持つものが含まれています。それによって体のエネルギー消費を高め、体脂肪の分解と燃焼を促進することで、肥満症を改善するとされています。

 体重(kg)を身長(m)の2乗で割った数字を「Body Mass Index(BMI)」といい、BMIが22のときの体重が理想体重とされています。防風通聖散はBMIが25~30くらいの軽度肥満症に対してはあまり効果を示さず、30以上の中等度~高度の肥満症に対してより明確に効果を発揮する印象があります。そのため、普段は肥満症でない人が「最近なんとなく太り気味だな」といった感じのときに防風通聖散を服用したとしても、あまり効果が実感できない可能性が高いです。

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