著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

クスリをお湯で溶かして投与する「簡易懸濁法」はメリットが多い

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 こういった問題点を克服するために生まれたのが「簡易懸濁法」です。錠剤やカプセルといった形のままクスリを約55度の温湯で直接溶かす(懸濁する)方法です。

 具体的には、容器にクスリと温湯を入れて少し時間をおき、溶けたものをクスリ投与用の器具で吸って投与します。また、クスリ投与用の器具に錠剤・カプセルを入れ、その状態で温湯を吸って器具の中で溶かす方法もあります。

 これらの簡易懸濁法だと、前述の問題点はほぼ克服できます。容器の壁にひっついたクスリも、何度かすすぐことで回収が可能です。粉状にして溶かすか、錠剤・カプセルのまま溶かすかの違いだけなのですが、結構メリットが多いです。55度の温湯は、熱湯と水を2:1の割合で混ぜることで簡単に準備できます。

 さて、こんな便利な簡易懸濁法ですが、もちろん適さないクスリもあります。特殊なフィルムでコーティングされていて温湯では溶けないもの、効果が持続するように成分が少しずつ放出されるようになっているもの、安定性が低いものなどが該当します。

 また、溶かすことでクスリの成分そのものの“味”が出てきてしまうので、口からの服用はできないことはありませんが、それなりの覚悟が必要になるでしょう。基本的にはチューブを介してクスリを投与するときに用いる方法と考えていただいて結構です。

【連載】高齢者の正しいクスリとの付き合い方

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