(16)飲まず食わずしゃべらず…生きる意欲をなくしてしまったように

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 母の認知症が発覚してから、私は東京にいながらも情報を集め、遠隔でできることを模索し続けていた。叔母たちが朝昼晩と交代で世話をしてくれた10日間、電話越しに伝えられる母の状態は、どんどん悪くなっているように思えた。

「飲まず食わずしゃべらず、無表情で全身がブルブル震えている。生きる意欲がほとんどなくなっているように見える」というのだ。

 電話で話した母は「電気代を払えないから、もうすぐ電気がつかなくなる。うちはもうおしまいだから。終わりだよ」と言う。完全に妄想だ。

 がんサバイバーである父からは、自身の体調も悪く、なんとか起きて4匹の猫たちの餌やりだけは行っているというメールが来ており、母の世話は叔母たちに任せきりの状態になっていた。

 しかし、認知症専門医院に行く日が近づき、叔母たちから「診察に連れていくところまではなんとかするけれど、その後は続けるのがキツい」と言われるようになった。当たり前だ。彼女たちにも生活がある。大きな負荷をかけているのはわかっていた。しかし、コロナ禍で、母に接触したら即座に通院を禁止しますと病院に言われていた私は、これからどうすればよいのかさっぱりわからぬまま、運命の診察の日がやってきた。

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