(4)リスクは「ある」「なし」でなく「量」で考える…いい加減な情報にだまされない
添加物にまつわる話題のひとつに「市販のパンはなぜカビないのか?」という言説がある。安全な食品を意識している人の多くが「市販のパンは添加物が入っていてカビすら生えないほど添加物まみれなのだろう」「いいパンはすぐにカビるのが当たり前」などのイメージしやすい考えに流されてしまっている。
しかし近年の大手メーカーが作っている食パンには、保存料は添加されていないが賞味期限が切れる頃まで常温で放置してもカビなど生えることはない。
「人気のお店や家庭で作られた手作りパンは確かに数日でカビが生えますが、それは単に製造過程が清潔であるかないかの違いです。しっかりした工場で作られるパンは、ほぼ無菌的と言ってよいほどの環境で作られています。製造後、無菌的にパックすれば味は別として1カ月たってもカビは生えません」
ちなみに、高級パンがカビると「もったいない」とその部分だけを取り除いて食べる人がいるが、やめた方が安全だ。肉眼で小さなカビが認められたときに顕微鏡で見ると、パン全体にカビが広がっているという。カビの中には、有害なマイコトキシンと呼ばれる肝障害やがんを引き起こす化合物を生成するものもある。