足の動脈硬化「下肢動脈性疾患」の最新治療…世界初の治療技術を東海大が開発
まず、「膝下に使える」について。膝上の血管は4.5~7ミリあるのに対し、膝下の血管は2.5~4.5ミリ。膝上のステントは厚みがありすぎ、膝下には使えない。耐久性に優れた独自設計で開発し、厚みも従来の膝上ステントの半分以下まで薄くした。
次に、「異物として認識されない」だ。
「異物と認識されると血小板が付着し、炎症などを伴います。血管平滑筋の遊走・増殖が起こり、再狭窄につながる。それを回避する方法として、ダイヤモンドのナノコーティング技術をステントに応用することを突き止めました」
最後に、「平滑筋」と「血管内皮細胞」だが、ステントという異物は、平滑筋細胞の増殖や炎症を招き、血管内の再狭窄を引き起こすことにもなる。血管内皮細胞が、いかに早期にステントを覆うかが、ステント留置後の長期開存を目指す上で非常に重要。きれいな一層の血管内皮細胞がステントを完全に覆うと、血管内皮細胞の働きで、血小板の付着や炎症細胞の付着を防ぐことができる。
「ステントの最外層にはシロリムスという薬剤を含む溶ける物質(生分解性ポリマー)がコーティングされており、早期に起こる平滑筋の増殖を抑えます。ポリマーが薬剤を溶出しながら溶けていくと、その下に、ステント表面を覆ったナノレベルの薄さのダイヤモンドコーティングが露出していきますが、そのダイヤモンドの表面は血栓もつかず、かつ血管内皮細胞で覆われるスピードを促進することが長谷部をリーダーとする医工連携グループによって解き明かされました」