「心アミロイドーシス」の診断と治療は大きく進歩している
心アミロイドーシスの原因になるアミロイドタンパクの種類は、主に①「イムノグロブリン遊離L鎖」(AL型)と②「トランスサイレチン」(ATTR型)の2タイプです。①AL型は免疫に関係する形質細胞の異常増殖や、自身を攻撃してしまう抗体の異常産生が原因で起こり、血液のがんである多発性骨髄腫を伴うケースが多く見られます。②ATTR型は肝臓で合成されるTTRタンパクの働きが障害されることで起こり、遺伝子変異による「遺伝性」と、加齢に付随する「老人性」の2種類があります。いずれも、放置していると1年程度で突然死を招くリスクが高くなるため、早期発見して治療を始めることが重要です。 しかし、かつては診断が難しかったことから、発見や治療が遅れてしまうケースが多く見られました。心アミロイドーシスは、少しずつ症状が進行するため、息切れや胸の圧迫感、むくみなどの症状が現れても、心臓の機能低下や心不全と診断され、病状が進行してから心アミロイドーシスだとわかるケースが少なくなかったのです。
また、心アミロイドーシスが疑われる場合は、レントゲン、採血、心電図、心エコー、心臓MRIなどの検査を行い、診断を確定するにはカテーテルを血管に挿入して心臓組織の一部を採取し、顕微鏡で観察してアミロイドが沈着しているかどうかを調べる心筋生検が行われていました。患者さんの負担が大きく、簡単には検査を実施できませんでした。


















