【特別編】ランは健康に良くない? 米国の研究が示す意外ながんリスク
それでも、マラソン人気が高まる今、この研究が示唆するものは小さくない。ニューヨークでは11月2日(日)にニューヨークシティーマラソンが開催され、約5万人が走ったばかり。日本でもウルトラマラソンの参加者が増えており、長距離走はまさに“国民的スポーツ”になりつつある。
ニューヨーク・タイムズ紙は、この研究を受けて複数の専門家に取材している。多くの医師は「若年層の大腸がん患者の大多数はランナーではなく、今後の追跡調査が必要」と慎重な立場を取る。その一方で、オレゴン健康科学大学の名誉教授デービッド・リーバーマン医師は「この年齢層で高リスクの腺腫が、これほどの割合で見つかるのは予想外」と語り、発見の意義を評価した。
■「一時的な不調」と見逃しがち
また、シカゴ大学のデービッド・ルービン医師は「ランナーは血便や下痢など、大腸がんのサインになり得る症状を“走った後の一時的な不調”と誤解して見逃している可能性がある」と指摘する。実際、マラソン後に起こる「ランナーズトロット(運動後の下痢)」や一過性の虚血性大腸炎は多くが自然に回復するため、危険信号に気づきにくい。しかし、ルービン医師は「虚血性大腸炎自体ががんを直接引き起こすわけではないが、症状を放置することが問題」と強調する。


















