(3)座学ではなく“体”で覚える…ハードルは“ためらい”

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 特に女性が倒れた場合です。「服を切ってパッドを貼るのがためらわれる」「女性にAEDを使っていいのか迷う」「周りの目が気になって動けないかもしれない」──。こうした声はとても現実的です。そして、その“ためらい”を減らすために、最近は女性へAEDを使用する際に女性の上半身を覆い、プライバシーを保護することができるシートなどを備える動きも出てきています。

 救命は技術だけでなく、環境づくりでもあります。千葉市立海浜病院の救急科統括部長・本間洋輔先生はこう話します。

「救命のハードルを上げてはいけません。完璧を求めるより、“まず動ける人”を増やすことが大切です。胸骨圧迫やAEDを使うだけではなく、人を呼ぶ、AEDを持ってくる、救急車を案内するなど、どんなことでも、命をつなぐ力になります」

 実際、心停止かどうか迷う場面でも、胸骨圧迫をして大きな問題になることは少ないとされています。判断に迷ったら、止まってしまうより動くこと。

 救命は「勇気のある人がやるもの」ではありません。条件反射で動けるように、社会全体で準備していくものです。子どもの頃から繰り返し学び、駅や商業施設ではAEDの場所がすぐ分かる。講習会に行けない人にはオンライン講習がある。女性への配慮も整っていく。そうやって“ためらい”が減れば、救える命は確実に増えます。

 次回は最終回。大阪・関西万博ではAED GOなどの仕組みを整え、実際に救命されたケースも報告されています。救命は奇跡ではなく、仕組みで起きる。その現実をお伝えします。 =つづく

 (医療ライター・熊本美加)

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