腎臓病(1)「人工透析」と言われたら…「する・しない」を決める前に医師に聞くべきこと
「やりたくない」ときの新しい選択肢
一方で、「それでもやはり人工透析はやりたくない」という人もいる。近年注目されている選択肢が、透析を行わずに腎不全に伴う症状や合併症を管理し、生活の質を保つことを目指す「保存的腎臓療法」だ。
「塩分、タンパク質、カリウムを制限する食事療法、可能な限り腎臓病の進行を防ぎ、末期腎不全の症状を抑える薬物療法、生活習慣の改善などを行います。病状の進行に伴い出てくる呼吸困難、痛みのコントロール、精神的なケアも積極的に行います。緩和ケアと重なる部分もありますが、保存的腎臓療法は、可能な範囲での腎臓病進行予防、合併症管理、症状緩和、生活支援を含む、より広い治療方針です」
生命予後は、腎機能だけでなく、尿量、心不全、栄養状態、感染症、フレイル、がんなどの併存疾患によって大きく異なる。透析を行わない場合でも、保存的腎臓療法として症状や合併症に対応することで、月単位から年単位の経過をたどる人もいる。一方で、透析は多くの患者で生命予後を延ばしうる治療だが、高齢でフレイルが強い人や重い併存疾患がある人では、その利益と負担を個別に考える必要がある。
「現時点では、高齢だから人工透析の必要はないと医療者側が判断できるほどのエビデンスはありません。しかし、患者さんの病状や希望によっては、人工透析より保存的腎臓療法が向いている場合もあります。そして必ず覚えておいていただきたいのが、いったん出した結論も病状や本人の気持ちの変化に応じて見直せるということです。保存的腎臓療法を始めても、途中で人工透析への切り替えを検討できるのです(病状などで人工透析が無理な場合もある)」
血液透析、腹膜透析、腎移植、保存的腎臓療法──。選択肢が複数あるからこそ、診察室での「確認」が重要になる。坂井院長が「必ず聞いてほしい」と挙げる8つが〈表〉だ。何を大切にして、どの治療をどう使うか。それが重要だ。


















