(4)夜、脳はなぜ眠くなるのか…「眠気の正体」という最後の謎
しかし近年、この2つは完全に独立した仕組みではなく、互いに影響し合うことが分かってきた。2024年、ローザンヌ大学のフランケン教授とサリー大学のダイク教授は、「Nature Reviews Neuroscience」に総説を発表し、睡眠恒常性と概日リズムは「絡み合ったシステム」であると指摘した。研究では、睡眠不足によって体内時計に関わる遺伝子の働きが変化すること、また時計遺伝子の異常が睡眠の質や睡眠恒常性に影響することが示されている。つまり、「体内時計が睡眠を調整する」だけではなく、「睡眠状態が体内時計にも影響する」という双方向の関係が明らかになってきたのである。
しかし、ここで大きな謎が残る。それは、「眠気は脳の中でどのように生み出されるのか」という問題だ。国内外の研究者は、この「眠気の正体」という問題を、睡眠研究に残された重要な課題のひとつとして追究している。
そんななか1998年、覚醒を維持する重要な神経ペプチド「オレキシン」が発見された。この発見によって、睡眠は単純に「眠気がたまれば眠る」という現象ではなく、睡眠を促す仕組みと覚醒を維持する仕組みのバランスによって制御されていることが明らかになった。


















