京成電鉄にのしかかるオリエンタルランド株の重荷…物言う株主の揺さぶりには抵抗も厳しい“お家事情”
「京成電鉄がOLCの大株主であるのは、川崎氏がOLCの生みの親的な存在であることと関係している。京成電鉄にとってOLCは一種の祖業のようなもの。アクティビストから言われたから、はい売りますというわけにはいかない」(メガバンク幹部)という。
83年4月に「東京ディズニーランド」が開業し、96年12月に東証1部に上場した際のOLCの時価総額は約8000億円だった。それが7月1日(終値)では約5兆7700億円まで拡大している。京成はOLCを持ち分法適用会社としており、21.15%(24年3月末時点)の株式を保有している。持ち分の株式時価は約1兆2200億円にも及ぶ。
これに対し、京成電鉄の株式時価総額は6749億円(7月1日終値)。「仮に京成を丸ごと買収し、保有するOLC株を売り払えば5095億円ものお釣りがくる計算」(市場関係者)とされる。
一方、京成は日本基準での決算を採用しており、保有する持ち分法適用会社の株式は時価評価されず、純資産が膨張することもない。このため、京成の株価純資産倍率(PBR)は1.2~1.3倍程度を維持している。だが、京成がOLC株を売却し、所有株式比率が20%を割り込むと、原則として持ち分法適用会社から外れ、所有株は時価評価の対象となる。「仮に15%程度に下がった場合には、京成のPBRは1倍を割り込むのは確実」(同)とみられている。企業の解散価値であるPBR1倍を下回れば、経営への圧力はいや応なく高まる。アクティビストの攻勢は続く。経営陣は企業価値を高め、株価を高めるしかない。