終わらないトランプ関税交渉…踊らされる赤沢大臣、土壇場の訪米中止の深層と日本の今後

公開日: 更新日:

身動きが取れない日本政府

 元外交官で平和外交研究所代表の美根慶樹氏が言う。

「外交日程を発表した翌日に中止とは、極めて異例の事態です。慎重に事務協議を重ねるスタンスの日本側から中止を要請したとは考えにくく、米側の都合で急きょ中止になったのではないか。日本だけではなく、多国間と交渉を続けているという事情もあると思う。7月の合意の時に文書を作っていなかった以上、のちに齟齬が生じることは誰もが予想した通りです。結局、文書作成を渋ってきた日本政府がかえって身動きを取れなくなっているように見えます」

 参院選を前に合意を急ぎ、文書作成もすっ飛ばした結果、赤沢大臣は今になって右往左往。米側の都合よく踊らされている。

「トランプ米大統領は対米投資80兆円についてフリーハンドで使えると主張していますが、日本政府としては認めるわけにはいかない。7月の合意は非常に大きな枠しか決まっておらず、対米投資の認識すら日米でまったく食い違う。米国の認識は投資ではなく、まるで『補助金』です。これでは、いつ、どこが、どのように、どの分野へ投資するのか、詳細を詰めるのは至難の業。リターンを得られるかどうかすら分からないのに、投資する企業なんてありませんからね。日米の認識のすり合わせから詳細を詰めるまで、かなり時間がかかるでしょう」(美根慶樹氏)

 自動車関税引き下げ実施は、前例を踏まえれば9月中旬ごろ。ズルズル長引くエンドレス交渉のせいで、日本の経済損失は膨らむばかりだ。

  ◇  ◇  ◇

 日米関税交渉をめぐる石破政権のマヌケぶりについては、関連記事【もっと読む】【さらに読む】などで詳しく報じている。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    米倉涼子“自宅ガサ入れ”報道の波紋と今後…直後にヨーロッパに渡航、帰国後はイベントを次々キャンセル

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    彬子さま三笠宮家“新当主”で…麻生太郎氏が気を揉む実妹・信子さま「母娘の断絶」と「女性宮家問題」

  4. 4

    アッと驚く自公「連立解消」…突っぱねた高市自民も離脱する斉藤公明も勝算なしの結末

  5. 5

    ヤクルト池山新監督の「意外な評判」 二軍を率いて最下位、その手腕を不安視する声が少なくないが…

  1. 6

    新型コロナワクチン接種後の健康被害の真実を探るドキュメンタリー映画「ヒポクラテスの盲点」を製作した大西隼監督に聞いた

  2. 7

    違法薬物で逮捕された元NHKアナ塚本堅一さんは、依存症予防教育アドバイザーとして再出発していた

  3. 8

    大麻所持の清水尋也、保釈後も広がる波紋…水面下で進む"芋づる式逮捕"に芸能界は戦々恐々

  4. 9

    “行間”を深読みできない人が急増中…「無言の帰宅」の意味、なぜ分からないのか

  5. 10

    万博協会も大阪府も元請けも「詐欺師」…パビリオン工事費未払い被害者が実名告発