やっぱり破綻した備蓄米制度…販売期限延長でも消えない「売れ残りリスク」
「大臣や一握りの大手のPRに利用された」
進次郎氏の判断にJA憎しがあったかはともかく、その後も流通は遅れているのが実情だ。
「随意契約の備蓄米は通常の流通ルートと異なり、受け付け開始からわずか5日ほどで店頭に並び始めた。しかし、それは独自の精米ルートを持つ一部の大手小売業者に限った話。むしろ全体で見れば、とても円滑な流通とは言えません。進次郎大臣は『スピード感』をしきりに強調していたが、結局、競争入札とそこまで大差はなかったのではないか。大臣本人や一握りの大手のPRに利用された感が否めません」(コメ流通関係者)
随意契約で放出を決めたうち、実際に申し込みがあったのは30万トン程度。今月10日時点で店頭に並んだのは、3分の1にあたる約10.7万トンにすぎない。いまだ20万トン近くが販売に至っていないのだ。
「備蓄米は『5キロ約2000円』と格安ですが、2021~22年産と古いコメなので当初から品質を疑問視する声が多かった。進次郎さんは『おいしい』とゴリ押しでしたが、食味の違いが消費者に見抜かれ、最近は売れ行きがだいぶ鈍っている。販売期限が延長されたものの、どうやって在庫をさばくのか、頭を抱えている業者も多いようです」(前出のコメ流通関係者)
見通しの甘さから、コメ政策は二転三転。農政への信頼低下は必至だ。