新国立競技場お披露目も…陸上トラック問題いまだ決着せず

公開日: 更新日:

 いずれにしても「軽視」である。

 新国立競技場の竣工式が15日に開かれ、完成式典が行われた。整備費に約1569億円を投じた立派なスタジアムには五輪に欠かせない聖火台は見当たらない。「木製の屋根に火の粉が飛んだら危険、消防法上問題がある」といわれているが、当初から特設や移動式で競技場内に設置する考えはなかった。

 そもそも新国立は、五輪が終われば陸上トラックは撤去され、6万8000席の観客席は8万席に増設。サッカーラグビーなどの球技専用スタジアムに改修することが2017年の関係閣僚会議で決まった。前回の東京五輪の舞台となった「陸上の聖地」である旧国立はすでに解体され、今は都内に国際大会を開催できる陸連公認の第1種競技場は存在しない。にもかかわらず、五輪後の収益重視により、陸上の本格的な競技場は「東京にいらない」ということだった。

 ところがだ、トラック撤去や球技専用への改修には多額の費用がかかる。五輪後に民間業者に売却する予定も、年間24億円の管理維持費や税金投資した金額が回収できるか不安で手を挙げる業者が出てきそうにない。収益のあがるコンサートやイベントを定期的に行うことは不可欠だ。そこで天然芝を傷めずに舞台を設置できるよう、硬い陸上トラックを残すことが再検討されているという。カネのために撤去されるはずだったトラックが、皮肉にもカネのために存続するかもしれないのだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  5. 5

    巨人正捕手は岸田を筆頭に、甲斐と山瀬が争う構図…ほぼ“出番消失”小林誠司&大城卓三の末路

  1. 6

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  2. 7

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    「ばけばけ」苦戦は佐藤浩市の息子で3世俳優・寛一郎のパンチ力不足が一因