「自分より小さかったはずの富士錦関が…」入門前の富士桜もだまされた新弟子勧誘あの手この手

公開日: 更新日:

体験入門を取り入れる部屋も

 体格の不安だけでなく、相撲界の厳しさに尻込みする若者を、あの手この手で勧誘した逸話も、枚挙にいとまがない。高度成長期には「飛行機に乗せてやる」「東京見物に行くか」などが常套句だった。親の方が、家庭で面倒を見られない子どもを相撲部屋へ預けた例も少なくない。

 だが、甘いことを言って入門させても脱走されては意味がない。やがて体験入門を取り入れる部屋も出てきた。部屋を35年続けた元大関琴風の尾車親方は「逃げられて行方不明になったりすれば、こちらの責任。むしろ入門させるよりエネルギーが要る」と言っていた。

 いくらかの支度金を出す場合もあるが、入門した者がすぐ行方をくらまして金が戻らない例が、複数の部屋で続いたことがある。調べたら背後に同じ人物がいた。「被害」に遭った親方が「新弟子詐欺だよ。入門者が減って足元を見られてるんだ」と怒ったのが20年近く前。情勢はさらに厳しくなった。果たして体格基準撤廃の効果は──。

▽若林哲治(わかばやし・てつじ)1959年生まれ。時事通信社で主に大相撲を担当。2008年から時事ドットコムでコラム「土俵百景」を連載中。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 2

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  3. 3

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  4. 4

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした

  2. 7

    有本香さんは「ロボット」 どんな話題でも時間通りに話をまとめてキッチリ終わらせる

  3. 8

    巨人は国内助っ人から見向きもされない球団に 天敵デュプランティエさえDeNA入り決定的

  4. 9

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 10

    佐藤輝明はWBC落選か? 大谷ジャパン30人は空前絶後の大混戦「沢村賞右腕・伊藤大海も保証なし」