伊原春樹監督との“壮絶確執”の前日譚 監督就任を知って絶望、引退が頭を過ぎった
西武時代は守備、走塁が専門。伊原野球は奇襲や機動力の印象が強く、攻撃よりも守備を重視した守り勝つ野球だと思っていた。大砲のアレックス・カブレラにすら容赦なくダメ出ししていたから、本塁打や長打を期待されていた俺のようなタイプが重用されるはずもない。だから、名前を聞いた瞬間、こう思った。
「終わった……」
2年契約の2年目で、残りの1年は出番がないままクビになるんだろう。ここで引退かな……なんて考えていた。
ところが、04年の春季キャンプで伊原監督の印象は一変した。全体練習で、俺と谷佳知、ルーズベルト・ブラウン、ホセ・オーティズの計4人に対してバントエンドランの練習を免除したのだ。
「おまえら4人には試合でバントのサインを出さんから、バント練習は入らなくていい。もう上がっていいぞ」
伊原監督はそう明言した。星野仙一監督のときは、たとえ主砲の立場になってもバント練習は必須。オリックスでは西武で築いてきたスタイルをあえて続けない作戦なのか……。ベテランを気遣ってくれるなんて、イメージと違うな……。


















