「凡人の怪談」工藤美代子著

公開日: 更新日:

 子供の頃、お手伝いの小春さんがこんな話をした。田舎の家にいた頃、オバサンが夜中に寝言で「そこのお財布取ってよ」と言うので、小春さんの母が「どこにあるの?」と聞くと「箪笥の2番目の引き出しの中」と言うが、財布はない。今度は「台所」と言う。そんなことを繰り返して、母は怒って寝てしまった。翌朝、オバサンは死んでいた。占いのお婆さんは、はっきり寝言を言う人はあの世に行きかけているから、返事をしてはいけないと言う。

 著者は明け方の5時ごろ寝言で「こら、さっさと起きろ、朝だぞ」と叫ぶので、夫が「うるさい、黙れ」と怒鳴るが、あの世に連れていかれてはいない。(「寝言に返事はいりません」)

 身近で起きた怖い話46話。

(中央公論新社 1300円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    映画「国宝」ブームに水を差す歌舞伎界の醜聞…人間国宝の孫が“極秘妻”に凄絶DV

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(22)撮影した女性500人のうち450人と関係を持ったのは本当ですか?「それは…」

  3. 3

    輸入米3万トン前倒し入札にコメ農家から悲鳴…新米の時期とモロかぶり米価下落の恐れ

  4. 4

    くら寿司への迷惑行為 16歳少年の“悪ふざけ”が招くとてつもない代償

  5. 5

    “やらかし俳優”吉沢亮にはやはりプロの底力あり 映画「国宝」の演技一発で挽回

  1. 6

    参院選で公明党候補“全員落選”危機の衝撃!「公明新聞」異例すぎる選挙分析の読み解き方

  2. 7

    「愛子天皇待望論」を引き出す内親王のカリスマ性…皇室史に詳しい宗教学者・島田裕巳氏が分析

  3. 8

    TOKIO解散劇のウラでリーダー城島茂の「キナ臭い話」に再注目も真相は闇の中へ…

  4. 9

    松岡&城島の謝罪で乗り切り? 国分太一コンプラ違反「説明責任」放棄と「核心に触れない」メディアを識者バッサリ

  5. 10

    慶大医学部を辞退して東大理Ⅰに進んだ菊川怜の受け身な半生…高校は国内最難関の桜蔭卒