「ニッポン制服 百年史」森伸之監修 内田静枝編著

公開日: 更新日:

 平成の30年にさまざまな風俗が生まれては消えていったが、この時代に台頭し、常に刷新を繰り返しながら、しっかりとその地位を確立したひとつが女子高生ファッションだった。今や「ティーンエージャーの魅力を輝かせる服」として海外からも注目が集まるポップカルチャーにまで進化しているという。

 ちょうど100年前の1919(大正8)年、山脇高等女学校が女学生の通学服にワンピース式制服を採用。これが日本初の洋装制服だといわれている。驚くことに、同校の制服はほとんどモデルチェンジすることなく、現在まで受け継がれているのだとか。本書は、このワンピース式制服にはじまる100年の日本の女学生服の変遷をたどるビジュアルブック。

 山脇高女を皮切りに各地の女学校が一斉に洋装化に動き出し、中でもセーラー服が人気を集め、女学生服の定番となった。戦時下の受難の時代を経て戦後になると、義務教育に中学が加わり、日本人のほとんどが学齢期に制服を着るようになる。

 数々の変遷を経て、昭和末に頌栄女子学院が「ブレザーとチェックのスカート」を採用したのを機に、平成の制服モデルチェンジブームが起こり、学生服はブラッシュアップされていく。そうした動きを受け、1990年代中ごろから、女子高生の間に制服を着崩した独特のファッションが流行。ルーズソックスやガングロなどが世間の注目を集め、「コギャル」ファッションとして定着する。

 江口寿史氏のイラストや実在する高校の制服を着たリカちゃん人形、そしてコミックなど多角的な構成で女学生服の過去と今を紹介。お母さん、お婆ちゃん世代も懐かしい制服と再会できるかも。同名展覧会が東京・弥生美術館で開催中(6月30日まで)。

(河出書房新社 1850円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  3. 3

    高市内閣の閣僚にスキャンダル連鎖の予兆…支持率絶好調ロケットスタートも不穏な空気

  4. 4

    葵わかなが卒業した日本女子体育大付属二階堂高校の凄さ 3人も“朝ドラヒロイン”を輩出

  5. 5

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    隠し子の養育費をケチって訴えられたドミニカ産の大物種馬

  3. 8

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 9

    高市早苗「飲みィのやりィのやりまくり…」 自伝でブチまけていた“肉食”の衝撃!

  5. 10

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑