黒木亮(作家)

公開日: 更新日:

9月×日 コロナが怖いので、ひたすらロンドンの自宅で執筆中。7月からのレストラン等の再開で、英国のコロナ感染者数は1日2000人近くまで増えてきている。一方、死者数は毎日10人かそこらで、4月の“戦争状態”にくらべると100分の1以下。高齢・肥満・基礎疾患有でもなければ、助かるのかなあという感じ。コロナって、何なんだろう?

 立花隆著「知の旅は終わらない」(文藝春秋 950円+税)を読む。田中角栄に対する見方は非常に厳しいが、たぶんこれが真実なのだろう。口述体なので、読みやすく、著者の人柄が肌で感じられる。

9月×日 3年前に70ポンド(約9800円)で買って、庭に植えたリンゴの木が、今年は10個ほど実をつけた。接ぎ木をしてあって、1本の木にコックス、ジェームズ・グリーブ、ケイティの3種類のリンゴがなる。今年は袋がけをしたので、虫にもやられず、甘い実を収穫できた。故郷の北海道北空知地方のリンゴ農家を思い出しながらいただく。

 川口マーン惠美著「世界『新』経済戦争」(KADOKAWA 1500円+税)を読む。電気自動車に関する最新情勢という視点から、地球温暖化やドイツの中国への接近など、グローバルな問題を俯瞰的に論じた本。知識の整理におススメ。

9月×日 取材で久しぶりに金融街のシティを歩く。かつては世界中の金融機関が軒を連ねていたが、ドックランズ(テームズ川のウォーターフロントの新興開発地区)にかなりの数が移転し、少し寂れた印象。米国人観光客が結構いて、この人たち、大丈夫かなと思う。

 野地秩嘉著「キャンティ物語」(幻冬舎 495円+税)を読む。文庫で250ページほどの薄い本だが、100人近くに取材した充実した内容。加賀まりこ、安井かずみ、三島由紀夫、かまやつひろしなど、あまたの才能ある人々が夜ごと集い、独特の文化を作り上げた六本木のイタリアン・レストラン。次回帰国時にはまた訪れてみたい。

【連載】週間読書日記

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2

    夏の京都に異変! 訪日客でオーバーツーリズムのはずが…高級ホテルが低調なワケ

  3. 3

    中日ポスト立浪は「侍J井端監督vs井上二軍監督」の一騎打ち…周囲の評価は五分五分か

  4. 4

    不倫報道の福原愛 緩さとモテぶりは現役時から評判だった

  5. 5

    ヒロド歩美アナ「報ステ」起用で波紋…テレ朝とABCテレビの間に吹き始めた“すきま風”

  1. 6

    中日立浪監督「ビリ回避なら続投説」は本当か…3年連続“安定の低迷”でも観客動員は絶好調

  2. 7

    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し

  3. 8

    夏休み到来! 我が子をテレビやゲーム、YouTube漬けにしない「割と簡単にできる方法」

  4. 9

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  5. 10

    新庄監督は日本ハムCS進出、続投要請でも「続投拒否」か…就任時に公言していた“未来予想図”