著者のコラム一覧
神崎浩孝医学博士、薬剤師

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

尿が真っ赤になる薬がある

公開日: 更新日:

 薬が体から排出される経路は大きく2つあります。①「腎臓から尿と一緒に出ていく」②「肝臓で代謝されて便と一緒に出ていく」の2経路です。ということは、腎臓や肝臓が障害を受けて働きが悪くなってしまった場合、薬が体からなかなか出ていかず、作用が強く出たり、副作用が表れたりする危険があります。そのため、薬を服用している患者さんは、とりわけ腎臓や肝臓の状態には常に気を配っておく必要があります。

 肝臓の機能低下は自覚症状が少ないのですが、腎臓の機能低下は尿が出にくい、尿が泡立ちやすい、血尿が出るといった症状から、比較的わかりやすい傾向にあります。ただ、腎機能の低下とは関係なく、薬の中には尿や便の色を変色させるものがあるので、いたずらに慌ててしまわないように、患者さん側も知識として知っておく必要があります。

 例えば、抗生物質の一種として結核治療などに用いられる「リファンピシン」という薬を飲むと、尿が真っ赤に変色することがあります。そのため、血尿が出たと勘違いして、腎機能障害や横紋筋融解症(筋肉が溶けてしまう病気)を疑ってしまう患者さんもいます。また、尿だけでなく、体液や使用しているソフトコンタクトレンズまで赤くなってしまうことがあります。知らないとびっくりしてしまうでしょう。ほかにも、貧血の治療に用いる「鉄剤」(フェロミアなど)によって便が黒色に変色することがあります。黒色になることそのものは特に悪い影響があるわけではないので気にする必要はありません。ただ、血便でも便が黒色になるケースがありますので、体の中で何かが起きていることは間違いありません。

 薬の影響で尿や便が変色しているのか、はたまた体の不調によるものなのかは、やはり専門家の見極めが必要です。薬を飲んで尿や便が変色した場合には、念のため、医師や薬剤師に相談しましょう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    米倉涼子“自宅ガサ入れ”報道の波紋と今後…直後にヨーロッパに渡航、帰国後はイベントを次々キャンセル

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    彬子さま三笠宮家“新当主”で…麻生太郎氏が気を揉む実妹・信子さま「母娘の断絶」と「女性宮家問題」

  4. 4

    アッと驚く自公「連立解消」…突っぱねた高市自民も離脱する斉藤公明も勝算なしの結末

  5. 5

    ヤクルト池山新監督の「意外な評判」 二軍を率いて最下位、その手腕を不安視する声が少なくないが…

  1. 6

    新型コロナワクチン接種後の健康被害の真実を探るドキュメンタリー映画「ヒポクラテスの盲点」を製作した大西隼監督に聞いた

  2. 7

    違法薬物で逮捕された元NHKアナ塚本堅一さんは、依存症予防教育アドバイザーとして再出発していた

  3. 8

    大麻所持の清水尋也、保釈後も広がる波紋…水面下で進む"芋づる式逮捕"に芸能界は戦々恐々

  4. 9

    “行間”を深読みできない人が急増中…「無言の帰宅」の意味、なぜ分からないのか

  5. 10

    万博協会も大阪府も元請けも「詐欺師」…パビリオン工事費未払い被害者が実名告発