著者のコラム一覧
小宮孝泰

1956年、神奈川県小田原市生まれ。明治大学卒。80年、渡辺正行、ラサール石井と「コント赤信号」でTVデビュー。91年に佳江さんと結婚。2001年、31歳の佳江さんに乳がん発症。12年に永眠。今年9月に、出会いから別れまでの出来事をつづった「猫女房」(秀和システム)を上梓。

<3>手料理を褒める 「おいしい」と言わなければ伝わらない

公開日: 更新日:

 男子厨房に入らずで育ってきた親世代は、作ってくれた料理についてもうまい、まずいを口にしない不文律のようなものがあった。

「ただ、我が家のキムチは一般的な赤くて辛い唐辛子入りのキムチではなく、白菜漬けの水キムチでした。父は朝鮮半島からの引き揚げ組で、水キムチはまさに祖母譲りのおふくろの味だったはず。一方、母は朝鮮には行っていませんので、おそらく父が母に頼んで水キムチを作ってもらっていたはずなのです」

 小宮さんは一度、その料理の感想に絡んで佳江さんを悲しませてしまったことがあった。

「私は、サケは昔ながらの塩の利いた塩ザケが好きで、今風の甘塩ザケとか、サケのホワイトソースとかいった料理は、あまり箸が進まない方なのです。妻は塩分を気にしてそうしてくれていたのだろうし、その気持ちもわからないでもないが、一度、『あんまり好きじゃないな』といった感じで、味の好みを言ってしまったのです。決して『おいしくない』と言ったわけではないのですが、妻は少し不満そうにすねた顔をしていました。その時、『ああ、おいしくなくても、おいしくないと言ってはいけないんだな』と学習しました」

 一人暮らしになって、たまに友人を招き手料理を振る舞うことがある。レシピなどは佳江さんが教えてくれた。「おいしい」と褒められると、やはりうれしくなるという。

 (つづく)

【連載】がん発症の妻にしてあげた10のこと

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  2. 2

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  3. 3

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  4. 4

    今なら炎上だけじゃ収まらない…星野監督は正捕手・中村武志さんを日常的にボコボコに

  5. 5

    「高市早苗総裁」爆誕なら自民党は下野の可能性も…“党総裁=首相”とはならないワケ

  1. 6

    志村けんさん急逝から5年、更地になった豪邸の記憶…いしのようことの“逢瀬の日々”

  2. 7

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  3. 8

    広陵辞退騒動だけじゃない!「監督が子供を血だらけに」…熱戦の裏で飛び交った“怪文書”

  4. 9

    広陵野球部は“廃部”へ一直線…加害生徒が被害生徒側を名誉棄損で告訴の異常事態

  5. 10

    (3)阪神チーム改革のキモは「脱岡田」にあり…前監督との“暗闘”は就任直後に始まった