著者のコラム一覧
佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

手紙を読んで死の恐怖を乗り越える術に一歩近づいた気がした

公開日: 更新日:

 短い命を告げられた患者が、宗教なしでどうやって奈落から這い上がるのか? そのひとつの術として、女性作家のKさん(当時73歳)からいただいた手紙を紹介します。

 ◇ ◇ ◇ 

 私自身、深刻な病気を持ちながら死ぬまで生きる杖が欲しくて、すでにやめてしまった「書くこと」を再開したものですから、よくわかります。

 死が差し迫った現実になった人にとって、何のために生きるのか、の「何」は、哲学的な命題ではなく、具体的な日常的な目標なのだと思います。

 つまり、細々としたやらねばならないことに囲まれた日常を維持することで、死という非日常を乗り越える。あるいはやり過ごす。奈落に日常を持ち込むことで、生と死を一続きの人間の営みととらえ、孤立し切断される死ではない、人の生活の中にある自然な死を実感して気持ちを立て直す。這い上がる。

 よく山で死ねば本望、舞台で死ねば本望などの謂いがありますが、それもそういうことだと思います。明日はこれをしよう、ここまで行こうなどと希望しながら死んでいくのが一番自然な死だと私は思います。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  2. 2

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  3. 3

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  4. 4

    大山悠輔に続き石川柊太にも逃げられ…巨人がFA市場で嫌われる「まさかの理由」をFA当事者が明かす

  5. 5

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    ヤクルト村上宗隆と巨人岡本和真 メジャーはどちらを高く評価する? 識者、米スカウトが占う「リアルな数字」

  3. 8

    どうなる?「トリガー条項」…ガソリン補助金で6兆円も投じながら5000億円の税収減に難色の意味不明

  4. 9

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  5. 10

    タイでマッサージ施術後の死亡者が相次ぐ…日本の整体やカイロプラクティック、リラクゼーションは大丈夫か?