著者のコラム一覧
王瑞霞医学博士、中医師、鍼灸師

日本医学柔整鍼灸専門学校鍼灸学科専任教員。中国山東中医薬大学卒業。中国北京中医薬大学大学院修了。日本大学医学部医学博士。鍼灸師、登録販売士。

正月の伝統行事にまつわる東洋医学の知恵 お屠蘇には漢方が含まれる

公開日: 更新日:

 お正月に行う日本の伝統風習の中にも、東洋医学の思想や知恵が込められたものが少なくありません。

 例えばお正月の元旦に頂くお屠蘇。このお屠蘇の中には、地方などにより多少の違いはありますが、山椒、陳皮、桂皮、桔梗、八角、白朮、防風などの生薬を配合した屠蘇散という漢方処方が入っています。胃腸を温め、消化機能を整え、風邪を予防する効能があるとされています。

 この屠蘇散は、中国三国時代の魏の名医である華佗が最初に作った処方だといわれており、邪気を払い、魂を蘇らせるといった意味も込められています。まさに年の初めにふさわしい、東洋医学の知恵の詰まった祝い酒といえるでしょう。

 無病息災を願う七草がゆの中にも、東洋医学の知恵を見つけることができます。

 七草がゆは、正月明けの1月7日にいただきます。年末から続くおいしいものの食べ過ぎ、飲み過ぎで胃疲れし始めた時期。

 七草がゆに入っている「七草」、つまりセリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロは、どれも胃腸の働きを高め、食べ過ぎや濃い味つけなどによって生じがちとなる、胃腸の気の滞りを改善する作用があります。

 このように昔から日本にある風習の中にも、東洋医学の未病や医食同源の思想が色濃く反映されており、健康や無病息災、長寿といった願いのこもった先人の知恵をうかがい知ることができます。東洋医学の知恵を改めて見直し、みなさんが健やかな生活を行う上でのヒントにしていただければと思います。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  2. 2

    大谷 28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」とは?

  3. 3

    学力偏差値とは別? 東京理科大が「MARCH」ではなく「早慶上智」グループに括られるワケ

  4. 4

    ドジャース大谷の投手復帰またまた先送り…ローテ右腕がIL入り、いよいよ打線から外せなくなった

  5. 5

    よく聞かれる「中学野球は硬式と軟式のどちらがいい?」に僕の見解は…

  1. 6

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  2. 7

    進次郎農相の「500%」発言で抗議殺到、ついに声明文…“元凶”にされたコメ卸「木徳神糧」の困惑

  3. 8

    長嶋茂雄さんが立大時代の一茂氏にブチ切れた珍エピソード「なんだこれは。学生の分際で」

  4. 9

    (3)アニマル長嶋のホームスチール事件が広岡達朗「バッドぶん投げ&職務放棄」を引き起こした

  5. 10

    米スーパータワマンの構造的欠陥で新たな訴訟…開発グループ株20%を持つ三井物産が受ける余波