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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

「統計学的検討」の指標はさまざま 何が起きているかをどう表現するか

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 ただその統計学的検討について知るためには、効果を評価するための指標についてまず学ぶ必要がある。この指標には大きく分けて割り算の指標と引き算の指標という2つがある。割り算の指標の代表が「相対危険」で、この研究で言えば、マスク推奨群の発症率÷マスク非推奨群、1.8÷2.1=0.86である。100のコロナ感染が86にまで少なくなるというものである。さらにこの相対危険を1から引いたもの、つまり1-0.86=14%を「相対危険減少」と呼ぶ。「マスク推奨によりコロナ感染のリスクが14%減少する」というように最もよく使われる指標である。

■論文は治療効果を大きく見せたい

 また引き算の指標の代表が「絶対危険減少」で、2.1%-1.8%=0.3%である。これも相対危険減少と同様に「マスク推奨によってコロナ感染が0.3%少なくなる」とも言えるが、相対危険減少に比べてあまり使われない指標である。さらにこれを逆数にして1÷0.003≒334を「治療必要数」と呼ぶ。「334人マスクを推奨すると、コロナ感染が1人予防できる」という指標である。

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