副鼻腔炎の治療は進歩している(1)慢性化して嗅覚が低下すると認知症リスクが高くなる

公開日: 更新日:

 また、鼻の穴の左右を隔てる鼻中隔が湾曲し、鼻腔の通りが悪い「鼻中隔湾曲症」の場合、鼻腔・副鼻腔間の換気がうまくいかず、細菌が繁殖して慢性副鼻腔炎になりやすいという。

「慢性副鼻腔炎は、急に症状が現れる急性副鼻腔炎と違って症状に慣れてしまい、受診するタイミングが遅れやすい。後鼻漏によって気管支炎が引き起こされると、咳や痰の症状が見られます。長引く炎症による嗅覚の低下は将来的な認知障害のリスクを高くさせる。また、鼻詰まりが招く睡眠の質の低下は、睡眠障害だけでなく生活リズムが乱れて糖尿病や高血圧脂質異常症などの生活習慣病につながる恐れがあるので注意が必要です」

 ほかにも炎症が副鼻腔の周囲に広がると、目が腫れて視力の低下を引き起こしたり、まれではあるが、脳に広がれば髄膜炎を発症させる恐れがある。

 とりわけ近年は、白血球の一種である好酸球が過剰に活性化して副鼻腔炎を起こす「好酸球性副鼻腔炎」の増加も問題視されている。副鼻腔内にキノコのような鼻茸(ポリープ)ができるのが特徴で、一般的な慢性副鼻腔炎に比べて粘り気のある鼻水がたまったり重度の嗅覚障害を起こしやすい。気管支ぜんそくとの合併も多く報告され、治療に苦労しやすいことから国の指定難病にも認定されている。

 合併症を防ぐには、早期の治療が肝心だ。 (つづく)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  2. 2

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  5. 5

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  1. 6

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  2. 7

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方

  3. 8

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  4. 9

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  5. 10

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした