がん血管内治療は「アブスコパル効果」の導火線になる

公開日: 更新日:

 日本では1985年に高度先進医療に採用され、90年には放射線併用で公的医療保険適用となった。現在では、化学療法併用並びに単独治療においても一部保険適用となっている。2023年3月には「ハイパーサーミア診療ガイドライン2023年版」が発行され、国内大学病院などを中心に学会の認定施設もある。

 このふたつの治療法を行うと、なぜ、「アブスコパル効果」が生まれるのか?

「主役となるのは樹状細胞です。免疫細胞の一種で全身に存在して白血球の司令塔の役割があります。がん血管内治療で死滅したがん細胞から出てきたタンパク質や細胞の情報を察知し、その特徴を記憶してT細胞にその情報を伝え、攻撃を命じます。そのことで、離れた場所にあるがん細胞も攻撃できるのです」(堀院長)

■ハイパーサーミア併用で全身制御の可能性

 興味深いのは、この組み合わせによる攻撃対象は、がん血管内治療の対象とならない小さな病変や、視認できない潜在的ながん細胞など広範囲に及ぶこと。

 つまり、がん血管内治療は局所的な治療でありながら、ハイパーサーミア療法と組み合わせることで全身的ながんの長期制御に期待が持てる点だ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  2. 2

    長嶋一茂は“バカ息子落書き騒動”を自虐ネタに解禁も…江角マキコはいま何を? 第一線復帰は?

  3. 3

    トリプル安で評価一変「サナエノリスク」に…為替への口先介入も一時しのぎ、“日本売り”は止まらない

  4. 4

    "お騒がせ元女優"江角マキコさんが長女とTikTokに登場 20歳のタイミングは芸能界デビューの布石か

  5. 5

    【独自】江角マキコが名門校との"ドロ沼訴訟"に勝訴していた!「『江角は悪』の印象操作を感じた」と本人激白

  1. 6

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  2. 7

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞

  3. 8

    99年シーズン途中で極度の不振…典型的ゴマすりコーチとの闘争

  4. 9

    27年度前期朝ドラ「巡るスワン」ヒロインに森田望智 役作りで腋毛を生やし…体当たりの演技の評判と恋の噂

  5. 10

    今田美桜が"あんぱん疲れ"で目黒蓮の二の舞いになる懸念…超過酷な朝ドラヒロインのスケジュール