がん血管内治療は「アブスコパル効果」の導火線になる
がん治療における「アブスコパル効果」をご存じか? がん組織の一部を治療しただけでも他の場所のがんが小さくなる現象のことを言う。放射線治療などで時折見られるこの現象の頻度を高め、がん治療の新たな武器とする方法が研究されているなか、がん血管内治療とハイパーサーミア療法を組み合わせた治療が注目されているという。実際に治療を手がける「IGTクリニック」(大阪府泉佐野市)の堀篤史院長と、「ハズしまぶくろクリニック」(大阪府茨木市)の島袋隆院長に話を聞いた。
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がん血管内治療とは、がん組織を栄養する血管(動脈)に細いチューブを入れ、抗がん剤や塞栓物質などを投与してがんを“兵糧攻め”にする治療のこと。正式には「動注塞栓術」と言う。進行肝臓がんの標準治療のひとつで、転移性肝がん、頭頚部がん、乳がん、膀胱がん、子宮がんなどでの治療成績が日本や海外から発表されている。
一方、ハイパーサーミア療法は、がん細胞は熱に弱いという性質に着目し、がん細胞の温度を選択的に上げることでがんを死滅させる治療法だ。国内外で40年以上の治療実績があり、がん治療の標準治療とする国もある。