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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

コロナ禍に定着した“受診控え”で進行がんになる悲劇

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 その結果、新規の大腸がん診断件数は流行前と比べて流行1期は13.5%と有意に減少し、流行2期は10.6%増加に転じました。新規の胃がんの診断件数は流行前と比べて流行1期で26.8%、流行2期で19.9%、それぞれ有意に減少していました。

 診断件数の減少もさることながら、問題はその中身です。胃がんステージ1は流行2期でも3割近い有意な減少が持続。一方、大腸がんと胃がんのステージ3は、いずれも流行2期でともに7割ほどの有意な増加が認められたのです。

 受診控えによって早期がんが減少し、進行がんで見つかるケースが増えたことが浮き彫りになりました。いまはコロナ前の状態にほぼ戻った印象ですが、それでもコロナ禍で懸念された悲劇が少なからず起きているのが現実です。

 竿下さんは、受診控えの間、咳以外に自覚症状はなかったといいます。ほとんどがんは進行してからでないと、症状を出しません。症状が頼りにならないからこそ、毎年の定期健診がとても大切なのです。

 がんは常に生まれていて、それを体に張り巡らされた免疫のネットワークが捕らえていますが、そこから漏れたがんが10~20年をかけて早期がんとして診断されます。早期として診断できるのは1~2年。人生100年時代を健康に過ごすには、やっぱりがん検診をきちんと受けることが必要です。

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