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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

石橋貴明さん公表…「食道がん」と「咽頭がん」併発を見抜く検査

公開日: 更新日:

 石橋さんが咽頭がんの併発を記した文書では、週刊誌報道を巡る深酒についてのコメントもあって、石橋さんもお酒が好きなようです。赤ら顔になるタイプかどうかは不明ですが、飲酒がこれらの発がんに関係した可能性はあるでしょう。

 前述した通り食道と咽頭は別の臓器のため、診療科が異なります。食道がんは消化器内科が担当し、咽頭がんは耳鼻咽喉科が診察します。そこが問題です。

 たとえば耳鼻咽喉科で咽頭がんが見つかったとします。そのまま治療が始まると、食道がんを見逃される恐れがありますから、消化器内科で胃カメラ検査を受けて、食道がんについても、チェックしてもらうのが無難です。

 逆もしかりですが、胃カメラは食道から胃を検査するだけでなく、咽頭も観察できます。特に画像強調内視鏡といって、食道や胃の粘膜表面の変化を強調して病変を見つけやすくした技術を使用すると、食道と咽頭に重複するがんの早期発見も可能です。NBIとBLIがそれで、NBIは特定の波長の光を使用し、BLIはレーザーを用いています。

 食道と咽頭を切除すると、かなり大がかりですが、化学放射線治療なら食道も咽頭も温存できます。治療後は粘膜の痛みから食事がつらくなりますが、それも一時的。食道がんや咽頭がんは、検査や治療の選択によって将来が大きく変わりうるがんといってもよいかもしれません。

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