著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

青木さやかさんは支払いゼロ…がん保険では「ステージ0」の上皮内新生物は対象外も

公開日: 更新日:

 上皮内新生物は病期でいうと、ステージ0。早期発見早期治療ができてラッキーなのですが、こと保険との兼ね合いでは微妙でしょう。がん保険の約款で、上皮内新生物は保険給付の対象外になったり、支払われても1~2割程度に抑えられたりするケースが多く、青木さんの言葉はその象徴といえます。

 肺がんが上皮内新生物で見つかるのはかなり稀でその点でもラッキーですが、この上皮内新生物の保険対象外が最も問題となるのが乳がんなのです。乳がんの多くは、乳管内の末梢にある乳管上皮細胞から発生。そこにとどまった状態のがんの一つが、非浸潤性乳管がん(DCIS)で、マンモグラフィー検査の普及でDCISが発見されやすくなり、乳がん全体の2割くらいに増加しています。

 実はDCISは乳房全体に広がりやすく、治療は全摘が基本。女性として精神的なショックが大きい治療でも、上皮内新生物ゆえ保険の支払いでもモメやすいのです。

 また子宮頚がんは、前がん病変の異形成↓上皮内新生物↓進行がんとなりますが、半数程度は上皮内新生物ですから、子宮頚がんもがん保険でがっかりしやすいがんといえます。

 上皮内新生物は、必ずしも浸潤がんに移行するとはいえず、部位によっては過剰診断の問題もはらんでいます。早期発見が善ともいえず、難しい問題ですが、保険料の負担に余裕があるなら特約でカバーすることは可能でしょう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    気持ち悪ッ!大阪・関西万博の大屋根リングに虫が大量発生…日刊ゲンダイカメラマンも「肌にまとわりつく」と目撃証言

  2. 2

    永野芽郁「鋼のメンタル」も文春砲第2弾でついに崩壊か?田中圭との“口裏合わせ”疑惑も浮上…CMスポンサーどう動く

  3. 3

    水谷豊に“忖度”?NHK『BE:FIRST』特集放送に批判…民放も事務所も三山凌輝を“処分”できない事情

  4. 4

    佐々木朗希「中5日登板志願」のウラにマイナー降格への怯え…ごまかし投球はまだまだ続く

  5. 5

    竹野内豊はついに「令和版 独身大物俳優」となった NHK朝ドラ『あんぱん』でも好演

  1. 6

    中居正広氏“反撃準備”報道のモヤモヤ…改革着々のフジテレビ尻目に「電撃復帰」への布石か

  2. 7

    永野芽郁の「清純派枠」を狙うのは"二股不倫報道”の田中圭と同じ事務所の有望株という皮肉

  3. 8

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意

  4. 9

    役者・林与一さん83歳の今も現役「糖尿病家系で甘いモノ好き。血糖値が問題ないのは運動のおかげ」

  5. 10

    囁かれる岸田前首相“再登板”に現実味? 一強時代到来で「安倍超え」に虎視眈々