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下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

在宅医療も外国出身の患者が増加…言葉の壁をどう乗り越えるか

公開日: 更新日:

 しかし最近では、患者さんの容体が悪化し、ご主人を介した会話が難しくなってきました。奥さまと直接やりとりする必要が増えましたが、これまで以上に意思疎通が難しくなっています。最近の様子やご主人が食べたものについて伺っても、話がうまくかみ合いません。

「前回の採血で貧血が進行していることが分かりました」(私)

「ひんけつ……?」(奥さま)

「悪性の病気が隠れている可能性もありますが、ご年齢を考えると積極的な治療よりも、奥さまがご希望されるなら、私たちが全身の状態を見守りながら、ご自宅で穏やかに過ごすという選択肢もあります」(私)

 この日は、ご主人が最期を迎えるかもしれないという大切な話を奥さまにお伝えしました。幸いなことに、中国語が話せるケアマネジャーさんが同席しており、改めて奥さまに母語で説明し、意思の確認を取ることができました。

 私たちは診察の際、「お別れの時間」や「お迎えが来る」といった表現を、なるべく穏やかな言い回しにして、患者さんやご家族の不安を少しでも和らげるようにしています。

 けれども、言葉の壁があるご家庭の場合、「本当に伝わっているのか」「誤解を生んでしまっていないか」と不安に感じることもあります。今後は、外国語に対応できる訪問看護や訪問介護の事業所と、より密に連携していく必要があると強く感じています。

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