健康を最優先していいとお墨付きをもらった気がした…批評家の杉田俊介さん糖尿病を語る
うつ症状が重いと食事がとれないので体重が10キロ減って、おかげさまで血糖値は良くなったんです。でも、うつの薬は体重が増える作用があり、うつの回復とともに体重がリバウンドして、再び糖尿病には好ましくない状態になりました。これ以上太ると良くないな、と思っているところです。
うつの原因は一言では言いきれませんが、大ざっぱに言うと、「大事なことをまだ自分はしていない」「人生でやるべきことができていない」という思い込みが強いことでした。うつ病と糖尿病が微妙に絡み合って脳がバグを起こし、希死念慮(死んで楽になりたい気持ち)にも苦しみました。でも、カウンセリングなどで自分の“根っこ”に向き合えたのは良かったと思います。うつの薬も減ってきました。
今は極端な思いや行動にならないよう、バランスを心がけています。考えすぎも考えなさすぎもよくないし、心配しすぎも心配しなさすぎもよくない。いい意味で「どっちつかず」でいることが、人の体や生活においては望ましいのかなと感じています。
当事者として言えるのは、糖尿病は「お付き合いしていける病気」ということ。合併症は怖いけれど、正しく怖がることが大事だと思います。「普通のご飯は食べられない」というイメージが強すぎて、病院に行かない人が多いのではないでしょうか。もちろん重症度によって違いますが、自分の場合は思っていたほど過酷な食事制限はありません。今どきは低カロリーメニューも販売されていますし、そこそこ食事を楽しむ余裕もあります。こういうリアルを伝えることで、早めの受診を促せるといいなと当事者として思います。