「酪酸菌」を増やすには何をすればいいのか…がんや認知症も予防
研究は順天堂大学などの研究グループにより行われ、認知機能正常群19人、MCI19人、AD18人の計56人が参加。MRIによるFWimaging(MRIは体内の水分を使って画像を作るが、FWimagingは細胞外の水分に注目する。細胞外の水分の増加は炎症や神経変性の可能性があるとされ、病気の早期発見や進行の評価に役立つとされる)ならびに便中の腸内細菌叢解析などを行った。
その結果、腸内環境が脳の健康に関係することが示され、AD群で有意に少なかった細菌の多くは、脳神経に対する保護作用を持つ酪酸を産生することがわかったという。
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また、昨年4月の欧州臨床微生物学・感染症学会(ESCMID)で発表された研究によると、酪酸酸性菌が腸内に10%多く存在するごとに、感染症による入院リスクが14~25%も低下することが報告された。オランダとフィンランドの大規模コホートを対象にしたもので、酪酸菌の定着が感染症予防に役立つことが示唆された。
実際、日本国内において長寿エリアとして知られる京都・京丹後市などの長寿地域の高齢者は酪酸菌が腸内に多数存在していて、認知症や糖尿病などの疾患が少ないことが報告されている。