寿命150歳を可能にする?「異種移植」の過去と現在…プーチンと習近平の雑談で注目
その後、40年ほど異種移植は行われなかったが、1950年代に一卵性双生児の腎移植をきっかけにヒトの臓器をヒトに移植する「同種移植」が活性化。1960年代には肝臓や肺、心臓などヒトの同種移植が行われ、移植後に免疫抑制剤も使われるようになったことで「異種移植」も再開。サルの腎臓をヒトに移植する研究結果が複数回報告され、移植後9カ月生存した例もあったという。
1970年代に免疫療法の発展で同種移植ブームに拍車がかかったが、ドナー不足により改めて異種移植が注目された。
1980年代には動物愛護や人獣共通感染症のリスクなどの観点からチンパンジーなど人間に近い霊長類からの移植が控えられるようになり、ブタの臓器を使った実験が進展。ブタの肝臓や心臓などの臓器を移植する異種移植が行われたが、生存期間は短かった。この間、拒絶反応を引き起こすメカニズムが解明されるなどして、移植研究は大きく進化した。
「拒絶反応には、慢性、急性、超急性などの種類があり、超急性は臓器移植後数分から数時間以内で起こる拒絶反応で、主に移植される側の体内に存在している抗体が原因で発生します。特にHLA抗体(免疫システムが自分ではないと判断したときにできる抗体のこと)やABO血液型不適合によるものが多く、液性免疫(血液やリンパ液にある抗体と呼ばれるタンパク質がウイルスや細菌を攻撃すること)が関与していることがわかっています」