(1)なぜ処方薬の薬価よりも高いのか…所得控除はメリット少ない
それを見透かしてか、スイッチOTC化された薬を処方薬から外す動きが活発で、与野党の多くがこの方針を基本的に支持しています。少子化が進むなか、日本の医療費抑制は大きな政治的課題です。その一方で、診療報酬を抑え続けた結果、公立病院の86%が経常赤字になるなど、地域医療は崩壊寸前。減らせるものは医薬品しかない、というわけです。
昨年度にスイッチOTC薬として審査申請が出されたなかには、コレステロール降下薬、血圧降下薬、尿酸値降下薬(痛風予防)、インフルエンザ治療/予防薬などが含まれます。それらがスイッチ化されれば、生活習慣病や感染症の多くが、セルフメディケーションの対象になります。それらを処方薬から外すと、その分の医療費を削減できますが、個人の負担が増大する可能性が出てくるのです。 =つづく
(長浜バイオ大学元教授/医事評論家・永田宏)


















