ますます広がる「カテーテル治療」で懸念される問題点
ただし、カテーテル治療にはデメリットや懸念材料があるのもたしかです。たとえば、大動脈弁狭窄症で行われるTAVIは、外科手術に比べると比較的新しい治療法のため、10年以上の長期的なデータがまだ少なく、傷んだ弁の部分に留置した人工弁がどのように適合していくのかは未知数です。経験的には、TAVIを受けた患者さんが増えれば、いずれ問題が起こるケースも増えるだろうと予想されます。また、留置した人工弁の周囲から血液が漏れて逆流を起こす可能性や、治療後、数年で再狭窄が起こるリスクも指摘されています。
さらに深刻といえるのが、再治療のトラブルです。人工弁の留置がうまくいかなかったり、重篤な合併症が起きた場合、緊急の開胸手術に切り替える必要があるのです。その場合、最初の治療によって患部の状態が悪化してしまっていて、リスクが高くなるケースも少なくありません。
■高額な治療費がさらに膨らむ可能性
また、再治療によって治療費が膨れ上がる恐れもあります。
TAVIの治療費は、70歳未満では3割負担で約180万円、高額療養費制度を利用すれば約14万円(年齢や所得によって変わる)、後期高齢者では1割負担で60万円、高額療養費制度で5万7600円(現役並みの所得がある場合は例外)ですが、実際にかかる医療費は約600万円と極めて高額です。そのうえ、もしもトラブルによる緊急手術が行われた場合、さらに外科手術の治療費約300万円(3割負担で約90万円)がかかることになるのです。


















