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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

胃がん&食道がんの2割は術後18カ月でも仕事に復帰できない…京大が研究を公表

公開日: 更新日:

 胃がん手術は、胃の3分の2またはすべてを切除し、食道がんの手術は食道と胃の一部を切除して、残った胃を持ち上げて食道をつなげる大がかりな手術。どちらも、胃が切除されるのがポイントです。

 実は胃には、空腹を感じると食欲を高めるホルモンを分泌する働きがあります。全摘すると、そのホルモンが激減して長期的にも回復しにくい。それを分泌する部位が部分切除で残れば回復する可能性がありますが、その部位が切除される部分切除ですと、全摘同様に回復しにくい。食道がんの手術でも同様で、どちらの術後も食欲が低下しやすく、大きな体重減少を招きやすいのです。

 そのため、この2つのがんではそれぞれの臓器を温存する治療法を選択することが、仕事復帰のためにも大切。それは、胃がんと食道がんの内視鏡治療、食道がんは化学放射線療法です。

 内視鏡なら、どちらも仕事復帰はほぼ100%で、食道がんの化学放射線療法は治療後は食道粘膜の炎症で飲み下しがつらくなり、食べる量が減って痩せますが、数カ月で回復します。

 内視鏡で治療できるステージ1は、どちらも内視鏡を選択する人がほとんどですが、問題はステージ2と3の食道がんです。およそ75%は手術を選んでいて、化学放射線療法は25%にとどまっています。手術も化学放射線療法も治療成績は同等ですが、肉体的負担は手術のほうが重い。臓器を温存できる化学放射線療法は、もっと選ばれていいと思います。そうすれば仕事復帰の可能性は手術より高まり、復帰までの期間も手術より短縮できますから。

 より負担の軽い治療を選択するには、どんながんであれ早期発見が重要です。今回のことは頭に入れておき、毎年の健診を欠かさないでほしいと思います。

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