(12)なぜ、夜になると「痛み」が強くなるのか? 体内時計と睡眠、神経の働き
■疾患によって痛みの時間的変化は異なる
では、実際の病気では、痛みはどの時間帯に強くなるのだろうか。
23年に「Pain Practice」誌に掲載された系統的レビューは、人の痛みの日内変動を調べた39研究を分析した。その結果、片頭痛や線維筋痛症、術後痛などでは朝に痛みが強い傾向が報告された一方、神経障害性疼痛や顎関節痛などでは夕方から夜にかけて強まる傾向が見られた。一方、関節炎やがんの痛みについては、一貫した日内リズムは確認されなかった。痛みの時間的な変化は、疾患によって異なるのである。
さらに、25年に「Neurobiology of Pain」誌に掲載された変形性関節症の総説では、体内時計に関係する遺伝子BMAL1やPER2が、関節痛の発生や持続に関与する可能性が論じられている。こうした仕組みを標的とする治療の開発が期待されるが、現時点では、これらの遺伝子を標的とした治療が確立しているわけではない。
夜の痛みをコントロールするために、私たちにできることもある。痛みが強まる時間帯や睡眠の状態、服薬時刻を記録しておけば、診察時に治療を検討する手がかりになる。医師と相談しながら、鎮痛薬の種類や使用するタイミングを調整できる場合もある。ただし、自己判断で薬の量や服用時刻を変更するのは避けたい。痛みを「夜だから仕方がない」と片づける必要はない。体内時計、睡眠、炎症、神経の働きを総合的に捉えることが、痛みの個人差を理解し、より適切な治療を考えるうえで重要になるのだ。=つづく



















