ユニクロが5年連続増収増益…アジアの次に狙う欧米市場で“世界の壁”を超えられるか
「日本では低価格という印象ですが、アジアでは『ちょっと高いが高品質』と認識されていて、日本より高い商品もあります。アジア諸国では安くて最低限の服が出回っているため、それらに対する差別化で奏功しています」(同)
ユニクロが中国に進出したのは02年。当初は現地の所得水準に合わせた低価格路線で苦戦したが、現在は日本と同等の商品を供給しているという。
■売り上げ3500億円を突破
アジアでの成功を背景に同社は欧米市場での拡大に注力している。直近5年間では北米は50から106店舗に倍増。欧州各国の店舗数はそれぞれ30未満だが、全体の売り上げは3500億円を突破した。欧州初進出は01年と中国より早かったが、本格的な事業化は近年になって軌道に乗った。
「欧州では当初、シンプル過ぎて個性がないと受け取られました。40店舗超まで拡大したロシアでのみ成功したので、足がかりを失いたくないため、ウクライナ侵攻後の撤退判断も他社より遅れましたが、欧州各国では一等地に旗艦店を構えて認知度をアップ。ショルダーバッグがSNSでバズるなど、シンプルさと機能性が評価され始めています」(同)
アパレル市場においてファーストリテイリングは6兆円台のZARA、3兆円台のH&Mに次ぐ3位。業績は好調でも、世界の壁はまだまだ高いようだ。
(ライター・山口伸)