石井丈裕の“らしさ”がでた完全アウェーの韓国戦…球場内は大ブーイングも、それが彼の良さだった
完全アウェーとなった準決勝・韓国戦。大きな重圧がかかる中、7回途中5安打1失点と素晴らしい投球をした。石井らしさが見えたのは、0-0で迎えた七回表。投手前に転がったバントを処理する際、うっかり足を滑らせた。捕球することができず、ピンチを広げた。
すると石井は、グラブを思い切りグラウンドに叩きつけ、悔しさをあらわにした。試合会場のチャムシル球場は、マウンド付近が天然芝だった。当時の海外の球場は芝目が長く、日本と比べてグラウンドもきちんと整備されていないことが多かった。守備に細心の注意を払うべきだったが、好投していた彼を責められるはずがない。場内にブーイングが巻き起こる中、私は石井の行為を自分自身への強い叱責と受け取った。日本人はあまり感情を表に出さないといわれるが、石井は闘争心を前面に出す。それがまた彼の良さでもあった。
石井は西武、日本ハムでプレーした後、台湾、韓国でも野球に関わり、西武でコーチや編成を経て、今は西武のライオンズアカデミーのコーチとして野球の裾野を広げる活動をしている。野球が2008年北京五輪以降、正式種目から外れた際は、正式種目復活に向けた活動に何度も協力してくれた。