第一線から退く谷口徹さんの「ひねくれキャディー愛」…表で皮肉も、裏での思いやりがすごかった
キャディーの良し悪しは、グリーンのライン読みがうまいとか、風のジャッジがしっかりできると思っている人もいるようですが、そうではありません。藤田さんもそうだし、宮本勝昌さん、田中秀道さんも同じことを言います。
「キャディーは空気とタイミングを読んで欲しい」
藤田さんの専属キャディーになって間もない頃です。アプローチショットの前、藤田さんが「サンド(ウエッジをくれ)」と言う前にバッグからSWを抜いて手渡したところ「何でクラブを抜くの?」と怒られたことがあります。ティーショットの直前に「右サイドにOBがあります」と言ったり、パッティングの際、「カップの先は下っています」と伝えたときも、「今、そんなこと言うな!」と叱られました。
選手はクラブを抜くところからプレショット・ルーティンが始まっているし、打つ前に除外したい情報もある。経験不足の若い頃は、それがわかりませんでした。
谷口さんは面と向かって褒めてはくれません。大会中にロッカールームでボクとコンビを組んでいる選手に「おい、梅キチ(谷口さんはボクをそう呼びます)がキャディーで今週は大丈夫か?」と皮肉を言いながら、ボクがいないところでは「今週はいいキャディー使ってんな」と言って下さっているそうですから、こんなにうれしいことはありません。


















