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永田宏前長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

応用の幅が広がったゲノム編集が食卓を変える日も近い?

公開日: 更新日:

 クリスパーなどゲノム編集技術を使えば、狙った遺伝子を高い精度で簡単に破壊(生物学では「ノックアウト」と呼びます)することができます。

 従来は、何人もの科学者がチームを組んで、半年から数年がかりで、ようやく1つの遺伝子をノックアウトできるかどうか。それがゲノム編集によって、手間も時間も大幅に減らすことができたため、ノックアウトできる遺伝子が飛躍的に増えたのです。

 そうなるとがぜん、応用の幅が広がってきます。とりわけ農作物・家畜・養殖魚などの品種改良の研究が盛んです。

 ほぼ実用化に達しているのが、豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)と呼ばれる、ウイルス性の病気に強いブタの開発。妊娠している雌がPRRSにかかると流産・死産を起こしやすくなり、子豚がかかると発育不良に陥ります。毎年の損害額は、世界中で数千億円に達するともいわれています。

 このウイルスは、感染する際に、ブタの気管や肺の細胞表面に突き出ている、ある種のタンパク質を足掛かりにして細胞内に侵入します。そこでアメリカの研究チームが、ゲノム編集によって、このタンパク質を作らないブタを開発したところ、ウイルスは細胞に付着できず、感染しないことが確かめられたのです。

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