著者のコラム一覧
清澤源弘自由が丘清澤眼科院長

1953年、長野県生まれ。東北大学医学部卒、同大学院修了。86年、仏原子力庁、翌年に米ペンシルベニア大学並びにウイリス眼科病院に留学。92年、東京医科歯科大眼科助教授。2005-2021年清澤眼科院長。2021年11月自由が丘清澤眼科を新たに開院。日本眼科学会専門医、日本眼科医会学術部委員、日本神経眼科学会名誉会員など。

視力低下は転倒の原因 眼鏡が合っていないと介護を招く

公開日: 更新日:

 私はそこに、③視力(視機能)の低下、を加えたいと思います。

 視力低下には白内障などの眼疾患による場合と、適切な眼鏡が使用されていない場合が含まれます。裸眼の視力が悪くても眼鏡を全く使わないで暮らしているという方は少なくありません。

 また、過去に作った眼鏡が既に合わなくなっているのに、まだ作り変えてはいないという方もしばしば受診されます。

 中高年になって白内障が進めば矯正しても視力が出ない状態になりますが、徐々に見えづらくなると、人は意外とそれに気づかず、見えづらいまま暮らしているという方もおいでです。視力の低下以外にも、知らないうちに視野が狭くなっていたり、ものがダブって見えていたりということもあります。物が良く見えない状態で暮らしていますと、室内で布団やわずかな段差につまずいて転倒するというようなことにもなりかねません。

 高齢者の転倒は、自宅内の廊下が23%、寝室が14%、居間12%、トイレ9%など、多くの場合、屋内で起きているのだそうです。高齢者の転倒は大腿骨頭骨折に繋がりやすく、そのまま立ち上がれなくなり、寝たきりになることで認知症を誘発することにもつながります。ヒトは移動するときに視覚からの情報を頼りに無意識のうちに状況を判断し、足を上げたり障害物をよけたりしています。ですから、ご質問の「合った眼鏡をかけていないと介護状態になる」という文章はあながち見当外れとは言えません。

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