著者のコラム一覧
坂本昌也国際医療福祉大学 医学部教授 国際医療福祉大学 内科部長・地域連携部長

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

HbA1cが低すぎる人は自覚症状のない低血糖を起こしやすい

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 低血糖対策としては、ひとつは薬の見直しです。前述の通り、SU薬やインスリン注射薬は低血糖を起こしやすい。これらの薬は下限値が設定されており、HbA1cが6・5~7・5%を下回れば、薬の調整の検討をします。

 ただ、SU薬を使わないと血糖値がなかなか下がらない患者さんがいるのも確か。血糖値が下がったからと、SU薬から別の薬に切り替えた途端、HbA1cがめちゃくちゃ高くなってしまう。糖尿病治療を専門にしている医師なら、なんとかSU薬を使わないで血糖コントロールをしようと知恵を絞りますが、昔から漠然とSU薬を使っている医師では、「血糖値を下げるためにはやむを得ない」とSU薬を使い続けるかもしれません。

 高齢者の低血糖対策では、その人に応じた血糖値やHbA1cの目標値を掲げることも大切です。日常生活動作(ADL)や飲んでいる薬などによって目標数値は異なります。あえて、少し高めのHbA1cを目指すことも。40~50代から糖尿病の薬物治療を続けている人は、65歳を越えたら、これまでの血糖値やHbA1cの目標値のままでいいのか、かかりつけ医に相談してみましょう。低血糖はあらゆる合併症の発症に関与すると報告されています。

 自己血糖測定器や持続血糖測定器などで血糖値の変動をチェックすることも、低血糖対策に役立ちますよ。

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